前回、湖周辺まで進んだバックカントリー。あれから、キャンプ地を求めて歩き進むわけですが・・。
結果を先に言うと、一泊でバックカントリーを終了させて帰っちゃいました。
別に、熊に出会ったとか、動物に襲われかけた・・とか、怖い思いをした訳ではなく、圧倒的な大自然を目の前にして、2人の心が折れてしまったのです。。まだまだ、自然の一部になって過ごせる技量が二人には無かったという訳です。。
最初の予定では、最終日に歩く距離を考慮して、初日は3時間ほど歩いた場所でキャンプ、翌日はもう少し進んだ場所でキャンプ、最終日はパークロードまで歩き、バスに乗って公園入り口まで戻る計画でした。
なので、初日のバスも11時と遅めのバスで出発したものの、歩き始めて3時間以上過ぎても肝心のキャンプ適地を見つけることができませんでした。
ちなみに左のは1日目のGPSの軌跡&標高グラフです。トレイルに迷いがありますね。(笑)
というのも、「パークロードから見える場所ではキャンプ禁止」という規約が非常にネックになるのです。。
等高線の緩いユニットだから、歩きやすいと思って選んだのが仇になったのですが・・どれだけ歩いても、パークロードが見えちゃうのです。
すんごく遠いし、小さいけど、わずかに見えるのですよ。東側が見えなくなった!と思ったら、西側から見えるようになったりして、全然隠れられない。
でも、見えたらダメって分かる気がする。
バスのツアーとかに参加してる人って、野生動物を一目見たくて、必死で超望遠の双眼鏡で動物探ししてる訳ですよ。そんな中、頑張って探して、「何かいる~!」って興奮したら、人間のテントだったりしたら興冷めですよね。
だから、ルールは絶対です。
何としてでも、隠れないとダメなんです。
でも、このルールと等高線の緩いユニットのお陰で、あんまし奥まで行かない方がいいよね・・と弱腰だった2人は更に奥に進むしかなくなる訳です。
そうこうしながら進むものの変らない状況が続くので、とりあえずサベージリバー沿いに出てみることにしました。
もしかすると、広い河原なんかがあるかも~!と淡い期待を寄せて東に進路変更したまでは、いいのですが、川沿いに出るまでの道がキツかった。。
ブッシュの生い茂る場所での藪漕ぎが続き、もちろんトレイルもなく、非常に歩きづらい。
言うに飽きるほど「ハイベアー」を言い続け、挙句の果てには、昔話の桃太郎を語りながら歩いたり、ブルーハーツを熱唱したり、声が枯れちゃいましたよ。><
(っていうか、普通に2人で会話すればいいんだけど、会話ないもんで。^^;)
ようやく、サベージリバーに出ると、川沿いと平行に、歩きやすいトレイルのようなものが出てきました。両側は樹林帯に囲まれてますが、地面もしっかりしていて歩きやすかったです。
ただ、パークロードは見えなくなったけど、今度は背の高い樹林帯に覆われて、なかなかテントを張れそうな場所が見つかりません。
事前に動物が発見できるような見晴らしの良い場所なんて、どこ~!?って思いながら歩いてると、サベージリバー沿いに見晴らしはそこそこですが、平坦な広い場所を発見。
「ここは?」
って、2人でチェックすると、熊の糞や足跡だらけ。しかも、熊がやったのかは不明ですが、地面を掘リ返した所が盛りだくさん。
何か、怖い。。(泣)
この時点で既に6時半を回ってましたが、暗くなるのは、10時位なので、まだ歩ける!
一晩過ごすなら、せめてもう少し心休まる場所で眠りたいのです。
っていうか、既に歩き続けて、6時間ほど。
こんなに、歩くつもりなかったのに~。><
出発時の晴天とは裏腹に小雨が降ったり、止んだりの状況も重なって2人のテンションは徐々に下降気味。
いつもより重い荷物もボディブローのように効いてきて、体の疲れも露になってきました。
早くテントでゆっくりしたいなぁ~。
と思うのもつかの間、追い討ちをかけるように、雨が本降りに。(泣)
こりゃあかん!とレインウェア、レインカバーを装着して、雨のデナリを進みます。
地図やGPSで確認して、川沿いに進んだ山の裏側に平地がありそうなので、そこまでは頑張ろう!と歩きますが、いつまでたっても樹林帯を抜けることが出来ません。
遠くから見て、あの場所良さそう!と近づいても、低い樹林帯。テントを立てられるような場所ではありませんでした。
その後も、同じような状況が続き、悪戦苦闘。
いよいよ、目的の場所が目視できるような場所に来たものの、いかにもテントは張れなさそうな樹林帯。途中から予想はしてたけど、やっぱ、あそこも無理だなぁ・・と、すでに時間は8時ごろ。
このまま先に進んでも状況は変らんだろうし、こうなったら標高を上げるしかない!と、すぐ西側にある山に登り始めました。なかなか、急登だもんで、標高を一気に上げることができますが、先ほどよりも鬱蒼とした樹林帯。
そして、いくら日が長いアラスカと言えども、これだけ雨が降れば、空も徐々に暗くなってきます。
ヘッドライトの明かりだけで、山道を進んで行く経験が少ない私にとって、このバックカントリーでは怖すぎる。。
あと1時間くらいでキャンプ地を見つけられなかったらどうしよう・・と、焦りも出始めてましたが、登り始めて間もなく、樹林帯の間にところどころ、開けた場所が出てきました。
意外とすぐに見つかるかも!と期待しましたが、納得できそな平坦な場所がありません。
キャンプ場のサイトほど、整地された空間なんて、もちろん期待はしてなかったけど、せめて、坂の途中みたいな傾斜は勘弁して欲しいしよな~と言いながら先を進んで行った、その時・・。
ドーン!!ゴロゴロゴロゴロ!!と、盛大な雷音。(泣)
その後も、続く大きな雷音に「これ以上登ったらあかん!」と、一番近くにあった開けた場所でのテント泊が決定。もちろん、斜面です。^^;
どしゃ降りの中、何とかテントを設営するものの、地面が緩くて、ペグもほとんど効きません。
岩などで押さえても、斜面だから意味がない。。
かなり、厳しい状況でしたが、雷も怖いので、何とかこれでOK。
雷が鳴る間、テントの中に入ってグッタリする2人。
雨や、泥や、草などが大量にテントに入ってましたが、気にもしてられません。
出来れば、このまま眠りたい・・。
ですが、ご飯は食べなきゃダメ!ということで、雷が治まった頃、日が暮れない内に食事タイム。
さて、ここからもデナリの法律に従わなければなりません。
キャンプ中は、テントから100m離れた風下の場所で食事。そして、食事が終わると、更にそこから100m離れた場所に、フードコンテナを置く法則。右のイラストを見ていただくと、わかりやすいかと思いますが、雨の時に、テントで食事できないって、結構厳しかったです。。
とりあえず、登り出して最初に見つけた開けた場所まで、フードコンテナを持って下ることに。たった100m程の下りですが、見通しの利かないブッシュ道なので、結構しんどい。。
しかも、到着した場所で、お湯を沸かそうと思ったら、テントにガス缶を忘れてきた事に気づき、ガックシ。。><
「取りに行って来るわ!」
珍しく私が手を上げて動きました。
再び、ブッシュを掻き分けて上に上がっていき、テントの場所を探します。
が、やってしまいました・・迷子。><
いくら進んでもテントを見つけられず、歩いたことのない場所に出てしまってる!と思った瞬間に
「ホーリー!!テント見つけられへん!!!」
と絶叫。^^;
どうやら見晴らし良い場所にいるホーリーには私が見えていたようで、 「もっと右や!!」と、ご指示が。
その後も言われるがままに、歩いていくとテントに戻ってこれました。^^;
いやぁ、、まいった。
こんなに近い場所なのに、わからんくなるんですね。
恐るべしブッシュ。
そして、情けない私。。
テントから、ガス缶を取って、再び下りるのですが、この時にも、ちょっとわからなくなりました。。
再び、ホーリーの声を頼りに歩くと、何とか見晴らしの良いご飯場に戻って来れました。
で、やっと食事です。
こんなこと、滅多にないのですが、食欲がない。。おまけに、雨にずっと打たれてるので、撥水が弱くなってきてたレインウェアが少しづつ染みてきて、体も冷えてくる始末。
何とか、沸いたお湯を日本から持ってきたアルファ米に入れて15分待ち。。
ブルブルしながら、周りを見張りながら、15分待機。
っていうか、こんな雨の中で15分も待てるか~!><
と、気が早過ぎますが5分くらいで待機終了。
あんなに、硬くて、喉を通らないアルファ米は初めて食べました。(笑)
しかも、どしゃ降りの中、向かい合って立ったままの食事。
目線は、お互いの後ろのいつ出てくるかわからない動物の見張り。
うまいはずがない。><
「もう、明日帰ろう」
「うん、帰る」
このとき、2人の心がポッキリと折れた音がしました。^^;
その後、再びクッカーなどを収納したベアコンテナは、ホーリーが離れた場所に置きに行き、私はテントへと戻りました。
先ほどの、教訓を生かして、1本の高い木を目安にして、上に登っていくと、テントに戻ってくることができました。
2人がテントに入ったころには、テント内もビチャビチャ。
その上にマットを敷き、シュラフを用意しますが、ご存知のとおり斜面での設営のために、テント内の全てが谷側にずれていきます。
もちろん、人間も。
いくら、体制を整えても、底面の半分位は使えない位にずれてしまうので、仕方なく、谷側に寝てる人にもたれかかって、重なるようにして寝る2人。
周りの状況がなければ、新婚旅行らしい場面ですね。(笑)
でも、谷側に2人の体重がかかってることになるので、このまま雨が降り続け、地面が緩んでいけば、テントがずり落ちる可能性もあります。
「ちょっとでも、おかしいなと思ったら、すぐに起きよう」
と、曖昧な約束をして眠りにつきます。
後は、テントが谷にずれ落ちないように神頼み。
最初は、この状態だと眠れないのでは?と不安に思ってたけど、起きるたびに2時間、1時間と時間が過ぎていくことが救いでした。
夜中を過ぎると、雨も止みだしましたが、テントの窓からチェックしたら空には、星は見えず。
そのまま、浅い眠りを繰り返して、朝がやってきました。
無事に朝を迎えられたことにホッとした2人。雨は止んでましたが、変な雲が顔を出してる微妙な天候。
一晩寝ても、バックカントリー終了という2人の決意は変わることなく、テントを撤収して来た道を戻って歩き始めるのでした。。
思い出のキャンプ地はこんな場所。
朝撮った写真ですが、こう見たら見晴らしも良くて快適そうやん。でも、この夜は、偶然にも2人とも大勢の友達や知り合いに囲まれて過ごしてる夢を見ました。(笑)
私達、どんだけ弱いねん!!><
ま、こんな感じでキレイに敗退した訳でありました。^^;
長くなったので、バックカントリーネタ、次回にもうちょっとだけ続きます。
もう、帰るだけですが。(笑)
Unknown
いや~前エントリーといいディープな景色!
じっくり堪能させて頂きました。
まさにHOBOワールドですね~!
ストイックなバックパッキングもすごい@@
7枚目の写真は某雨男Bさんが登場しそうですね。
「タープ要りませんか~?」みたいな^^;
なるほど、幕営場所探しもなかなか大変なんですね。
というかそのロードから見えちゃいけないってルール、洒落てますね~
日本にも先客サイトから見えないように設営しろ。なんてルールないかな?^^
カモフラ柄の身成にテントだったらロードから多少見えてもイイんぢゃね?
と思っちゃいました。
ま、それだと写真映えもしないんですが(汗)
いや~しかし人の失敗・・・もとい経験談は興味深いです(笑)
ボラカッチョええー!
スゴイ。。。
スゴイ。。。
ボキャブラリーの乏しい私にはその一言しか出てこない(汗)
読んでて自分も一緒に経験してる気持ちになった。
心構えとして聞くだけは簡単やね。
前回レポのコメでワタシ偉そうなこと言ってたけど^^;
実践する重要性を把握して、それに従う当事者にとってこんなにも現実が厳しいものだとは。。。ホントお疲れさまでした!
計画通りにいかずともこれだけの経験をしたことって、見方によってはスゴク実があるものやと思うよ^^
ワタシもいろんな勉強させてもらえたわ^^
ありがとう!
Unknown
おはようございます!(^^)!
超 興味深く読ませて頂きました~(^^♪面白かった~(^・^)
にしましてもディープな経験で羨ましいです(*^。^*)
この後の超が岳は、高規格キャンプ場に感じました?(笑)
コメントありがとうございます!
☆バロンパパさん☆
じっくり見ていただけて、嬉しいです~!
ありがとうございます。^^
めっちゃ長かったでしょ。^^;
>>7枚目の写真は某雨男Bさんが・・
ほんとだ~!
あの時、サベージリバーでも下りながら、販売員さん出てきてくれたら
最高に嬉しかったんですけどね~。(笑)
幕営場所探しは、結構厳しかったですよ~。
何とか、隠れられるだろ~って思ってたけど、甘かったですね。。
いくら遠くても見えるんだ~って当たり前なことに気づきました。
>>日本にも先客サイトから見えないように・・
お!それいいかも~。
朝霧ジャンボリーとか広いキャンプ場だったら、アリじゃないですか~??
でも、山のテン場だったら、争奪戦ですよね。。
ほとんど、見えちゃうし。^^;
>>いや~しかし人の失敗・・・もとい経験談は興味深いです(笑)
結局、本音はソコですよね~!(笑)
いくら、人気のないアラスカ記事でも、さすがにこういう失敗話はアクセス上がりましたわ。(爆)
でも、こういう人がしんどそうな目に遭ってる記事っておもしろいですよね。
私も大好き!
自分でなければ・・^^;
>>ボラカッチョええー!
ですねー!!
私も思う~。
アラスカの景色にマッチしてません?
☆じゅんじゅんさん☆
スゴイというか、何と言うか・・って感じで。
結局、敗退して帰ってきたという話やねんけどな。^^;
2人がどんな感じで過ごしてたか、ちょっとでもわかってもらえたら嬉しいわ。
最初は、そこまで何も思ってなかってんけど、アラスカ来て3日目位に氷河近くの
キャンプ場で一緒に焚き火をしたアメリカ人夫婦が、デナリでバックカントリーに
入るつもりって言ったら、「怖い~!よくやるね~」みたいな反応やってな。。
そっから、「え?私ら行って大丈夫なん??」って思うようになってん。^^;
そういう、スタートから気持ち負の部分もあったし、日本やと天候不良の予報やったら
中止にする位に弱腰の2人やから、もうちょっと強くなれ!と試練を与えられたんかもね~。
良い経験になったなぁってスゴイ思うけど、
でも、もっと強くならんといかんなぁ・・というのも実感しましたわ。
☆piyosuke-papaさん☆
こんにちは~!
興味深く読んでいただいてありがとうございます!^^
長文ですいません。
いやぁ・・今回はディープでしたね。
まいっちゃいましたよ。><
でも、2人の弱さも実感できたし、とっても良い経験ができたと思います。
今後、山に行く時もきっと違うはず・・
って思って、アラスカから帰ってきて一番最初に登った山は双六ソロでした。
テント内でご飯食べることとか、最初は抵抗があったんですけど、すぐに慣れちゃいました。^^;
>>高規格キャンプ場に感じました?(笑)
天候がよければ、どこでも高規格に感じるかもしれません!(笑)
厳しすぎる~
自然条件よりもパーミットの条件が
あまりにも厳しすぎるような・・・
そんな思いがします。
でもそこまでしなければバックカントリーを保全出来ないでしょうけれど。
不慣れな者にとってはこのルールに振り回され、
予想していたルート、テント場を選ぶことも出来ず、
不満だらけになりそう・・・
バックカントリー 恐るべしです。
コメントありがとうございます!
☆tekapoさん☆
>>不慣れな者にとってはこのルールに振り回され・・
まさに、私たちがそうでしたね。(笑)
ただ、パークロードから見えないという条件は、他の人間の為ですが、
他の事は、自分が安全に過ごせるための方法を教えてもらってると
思ってました。
これで、経験があれば、自分で判断できることも多いのでしょうけど、
不慣れな人には、全てを守る為にまいってしまう部分もあるかもしれません。
でも、この規制があるから、守る事で安心して過ごす事ができる部分も
あったりで。。
結局、経験がなくて、判断基準が自分にないことが一番の問題だったな。。
と思います。
だから、もう1回行きたい!
次の機会があれば、二泊はできるかと。。(笑)